一般海軍からの視察は大抵よくないことが起こるのです!

海外軍司令「Oh、貴官が、対深海棲艦部隊の提督ですか。ヨロシク、オネギ シマス。」
提督「は、始めまして!おこし頂き光栄であります。」

昨日、本部から急遽入電があり、海外の部隊が視察に来ることになった。
海外の部隊、といっても、艦娘を率いる提督とは違い、一般の軍隊である。

世界各地で、深海棲艦による被害が報告されているが、現代の最新の兵装を装備した部隊でも、効果的な戦果が上げられていないのが現状であった。

深海棲艦に対して、特に高い戦果を上げている日本の対深海棲艦部隊に、海外の部隊が視察に来ることになったのである。

提督と共に、この海外の海軍部隊一行を出迎えたのは、北上、電、木曾であった。

北上「なー、提督。オネギ ってなんだ。」
提督「(しっ…たのむからおとなしくしててくれ。)いやー、長旅でお疲れでしょう。まずは、お茶など…」

提督は、北上を肘で軽く突きながら、海外軍司令のご機嫌を損ねないよう必死である。

このような対外的な場には、いつもは、霧島、不知火、吹雪、鳥海らを同行させる。

しかし、今日は春イベント後の一斉有給休暇中であり、鎮守府には、緊急要員として待機していた、木曾、電、北上、金剛の4人しかいなかった。
そして、ティータイム中の金剛を除いたこの3人が、同行することとなったのである。

大きなため息をつく提督。
全く、本部はいつも無茶ぶりばかりだ。
いや、それはどうでもいい。とにかく粗相のないようにしないと首が飛ぶ。

今日は、霧島も不知火もいない。
提督は、このメンバーで対応するのが不安でしかたがなかった。

その行動も、どこかギクシャクしてぎこちない。

提督「ささっ、こちらへどうぞ。あちらの兵舎までご案内します。狭い兵舎ですが…」

目が泳いでいる。
そして、不自然に頭を何度も下げていた。

海外軍司令「いやいや、堅苦しい アイサル は ケッコウです。すぐに兵装などからみせていただきマス。」
提督「いやいや、それでは失礼ですので。」
海外軍司令「ご心配、大丈夫です。アソビにきたのではありませーん。」

海外軍司令は日本語はできるが、やはり母国語の人間が聞くと色々おかしい。
しかし、そんなことはどうでもいい、とにかく粗相のないように。ないように。

北上「提督。アイサル ってなん…」

たのむ、北上。今日だけはおとなしくしててくれ…
北上の言葉を遮るように、提督は言葉を発した。

提督「ま、まー、ソウデスネ。では兵装倉庫からご案内ドウゾデス。」

不安と緊張で、提督の言葉もおかしい。
北上には、どこかそれが気に食わなかった。

北上「(ちぇっ、提督ったら、ペコペコしちゃって…)」

海外軍司令とその下士官一行は、提督の先導の元に、兵装倉庫への道を歩いていた。
その後ろに、北上、電、木曾が続く。

たのむ、何もしてくれるなよ。
祈りながらヨロヨロと歩く提督の先導で、兵装倉庫に到着した。

提督「こちらが、兵装倉庫です。ええと、あ、電くん、予備の 20.3cm連装砲 取ってきて。」
電「了解なのです!」

電は、提督の指示で、元気よく倉庫の奥に走り出した。
そして、取ってきた20.3cm連装砲を、提督に手渡した。

提督「こちらが、我が部隊の軽巡洋艦、重巡洋艦で、実際に装備している20.3cm連装砲です。ええと、中口径の主砲で、重量は…」

提督が説明を始めると、海外軍司令と下士官たちが笑い出した。

海外軍司令「Hahaha! ここの admiral は冗談がスキです。ジョウダンはさておきで オネギ シマス。」
提督「いえ、こちらは艦装と申しまして、艦装化した艦娘が実際に装備する…」

説明を始める提督の言葉を、海外軍司令は笑い声で遮った。
下士官も腹を抱えて笑っている。

海外軍司令「..Oh..オナカ..痛いです。このミニチュアで…hahaha」
提督「あのですね。まず艦装というものは…」

提督が必死に話をするが、海外軍司令一行は、笑っていて聞く耳をもたない。
. . . . .
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そこへ、電が急に大声を出した。

電「司令に失礼なのです!

真剣な眼差しで、海外軍司令を睨む電。
しかし、怖くなって、すぐに提督の後ろに身を隠した。

電「司令、ご、ごめんなさい。なのです…」
提督「いいんだ、私の説明が拙いだけだ…」

珍しいこともあるもんだ。と提督は思った。
電が他人に、自分の感情をぶつける姿を見るのは、過去に数えるくらいしかない。

提督「大変失礼いたしました。それでは説明を続けさせていただき・・・」
海外軍司令「Oh! こちらこそ Sorry です。事務のお嬢ちゃん。とってもかわいいデスね。」

海外軍司令は、笑いながら電に言葉をかけた。
電はまだ、提督の足にしがみついてる。

提督「いえ、この者も艦装化した艦娘でして、実戦では優秀な…」

提督が話しだすが、海外軍司令は肩をすくめて、また下士官たちと笑っている。
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その笑い声を、威嚇するような大声が引き裂いた。

お前等の指揮官は 無能 だな!

提督は、恐る恐る、ゆっくりと後ろを振り向く。
その目には、仁王立で海外軍司令をにらみ付ける、木曾の姿が映っていた。

まずい まずい、やっぱり、木曾は連れてくるんじゃなかった。

そう思いながら、提督の動きは、完全に固まった。
木曾さん、それはやばいって。どうか、おちついて… オネギ します。

勃発!その2 へ続く →

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