木曾「お前等の指揮官は無能だな!」
そう言いながら、海外軍司令を睨みつける木曾。
固まる提督。頭の中が真っ白である。
まずい、これはまずい。私の首が飛んじゃう…
そもそも、一般の人が、艦装を理解するのは難しい。
展開した艦装は、最も大きい戦艦のそれと言えども、通常の艦艇に対する大きさは、人となんら変わりはない。
これでは、いかに実際の艦艇と互角以上の戦闘能力があると言われても、理解できないのは当然である。
木曾も、それは理解していた。
しかし、少なくとも身分のある提督が公式に対応している場所で、真面目に話をしているにも関わらず、それを嘲笑するような態度が、木曾には我慢がならなかった。
冷や汗をかきながら、すぐに提督は話をそらした。
提督「あー、大変失礼いたしました。で、では兵装倉庫はこの辺にいたしまして、ひとまずはご休憩ということで…」
引きつった顔で笑いながら、木曾の腕を取る提督。
そして、小声で木曾に話しかける。
提督「(木曾くん、まずいよー。とにかくここは収めて。ね。ね。あとで話は聞くから…)」
木曾の頭の中は、憤りでいっぱいである。その目は、いつになく鋭かった。
そして、わざと、海外軍司令と目を合わせずに話しだした。
木曾「相手の兵装能力も分析できない、満足に戦力を計ることができなくても、海外では司令になれるんだな。」
それを聞いた海外軍司令は、ニヤニヤしながら木曾に話しかけた。
海外軍司令「では、そこのマントくん、実際にこの兵装で、どうやって全長300m、排水量80,000tはある、我が空母とタタカウのですかね?」
木曾「ふん、こうやるんだよ。」
木曾は艦装を展開した。
体が霊力で発光すると同時に、全身が艦装で包まれた。
木曾は、手にした20.3cm連装砲を海外軍司令に突きつけた。
海外軍司令「hahaha! 面白い手品デスね。しかし、こんな豆鉄砲ではハトも Die しません。」
海外軍司令は、突きつけられた銃口を指でふさぎ、ニヤニヤと笑っている。
もう既に、海外軍司令と木曾の間に、提督の割り込むスキはなかった。
木曾、もうやめて。ハゲる、ここのままではハゲてしまいます。というか首。
オロオロと狼狽する提督を無視し、木曾は話を続けた。
木曾「俺に勝負を挑む馬鹿は何奴だ?」
海外軍司令「勝負?ワタシは、深海棲艦と実際に戦う艦艇と兵装を見に来ました。マジックではありません。」
木曾「なら、見せてやるよ。無能。ヒトヨンマルマルより演習でいいな。」
海外軍司令「分かりましたマントくん。それでは オネギ します。」
そう言い放ち、木曾は兵装倉庫から出て行ってしまった。
え、演習?何言ってんの?視察に来た部隊と?
た、助けてスーパー北上様。
しかし、その儚い願いは、無惨にも打ち破られた。
北上「あ~、もうやっちゃいましょ!」
電「電の本気を見るのです!」
北上と電は、そう言いながら提督の横を通り過ぎ、木曾の後を追った。
あれ、おかしいな、そもそも、解散していいって言ってないよね。
始末書?減俸?首?轟沈?
頭の中が不安で一杯になる提督。
ここでなんとかしなければ。提督は必死に話しかけた。
提督「い、いやー、これは失礼つかまつりました。なんていうか・・・」
海外軍司令「ヒトヨンマルマルより、演習でワカリました。ホ・ン・モ・ノの対深海棲艦部隊を見せてクダサイ。オネギ しますよ、提督。」
そう言うと、海外軍司令も、停泊させている自分の艦艇へ向かって行った。
その瞬間、20本の髪の毛は、提督の頭から抜け落ちた。
木曾くん、私の根毛ゲージを削るのはもうやめてください…