ポートワインを飲みながら軍議をしてはいけない

強襲!ポートワイン破壊作戦

霧島「大体ね、計画性がなさすぎるんです!」

作戦会議室のテーブルをはさみ、グラスに注がれたワインを、一気にのどに通しながら霧島が机を叩く。

提督「い、いやー、利根姐もLv低かったし、確実にズンダ海峡を越えるには、あの編成しかなかったというか。。」
霧島「人のせいにしないでください!」
霧島「それは、日頃、司令が艦隊の訓練を怠っているせいでしょう?」
霧島「4月は鎮守府に数回しか来てないじゃないですか。データに残ってるんですよ。デ ー タ ー に!」

そして、空になったワイングラスをクイッと傾け、合図する霧島。
すぐさま、両手でワインを注ぐ提督。

霧島「見ましたよ。ズンダ海峡戦の報告書。」
霧島「これな、グロ画像だから。18禁だから。」
資源

あ、やばいね。酒入って説教モードはいっちゃった?これ。

霧島「これじゃ、ポートワイン突破できないでしょ?未来も見えないでしょ?わかってんのかオラァ!」

提督の胸ぐらをつかみ、力任せに前後に激しく揺らす霧島。
なすすべなく、死んだ魚の目をしながら、体を揺らす提督。

「失礼します。」

作戦会議室のドアをノックする音と共に、落ち着いた声が聞こえる。

提督「ど、どうぞー。」

提督は、ドアに向かって声を絞り出した。

日向「先ほどから、ものすごい声が響いているが、大丈夫か?」

入るやいなや、酒臭い部屋にすこし顔をゆがめる日向。

霧島「大丈夫なわけある…」

と開口したものの、日向の顔を見て少し落ち着いたようだ。
霧島が、慌てて提督の胸元から手を離す。

提督はそのまま崩れ落ちた。

霧島「はっ、艦隊の頭脳としたことが少し取り乱しましたわ。」
日向「わ、私も軍議に参加しよう。」
提督「(…ナイスだ日向…)」

安堵の表情を見せ、落ち着く提督。

提督は、新しいグラスを棚から取り出し、日向に渡す。
そのグラスには、提督からワインが注がれた。

そして、軍議は再開された。

霧島が、現状を日向に説明する。
ワイングラスを傾けながら、真剣に話を聞く日向の姿がそこにあった。

日向「…つまり資材がほとんど尽きた状態。練度も他の鎮守府より低い、と。」
霧島「そうなんです。それに、ポートワイン沖海域はフラ艦も多く出現するようです。高い耐久と装甲、そして火力が必要。まさに我々戦艦が適任なのですが、出撃するには資材が足りず、このままでは底を尽きてしまいます。」

そう言いながら、提督をにらむ霧島。

霧島「加えて、本作戦では索敵が重要です。この海域において、索敵が低い状態では敵本隊を見つけることが非常に困難です。」

酔っていても、霧島の状況の把握、分析能力は見事なものだ。

霧島「まずは、重巡利根に改になってもらいます。改までのレベルはあと少しのはずです。索敵と火力のバランスを見れば、彼女は編成に入れるべきです。」
日向「…そうだな。利根型は索敵と火力のバランスが良いな。筑摩はどうだ?」
提督「れ、Lv13。」

それを聞いて、鋭い目でにらむ霧島。
ため息を漏らす日向。
下を向いて黙り込む提督。
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ふと、何か気がついたように顔を上げ、口を開いたのは日向だった。

日向「航空巡洋艦はどうだ?索敵も重巡より高めだし、火力も伸びる。」
霧島「ちょっと待ってください。確認します。」

手元のタブレットを操作し、画面を確認する霧島。

霧島「本鎮守府には、1隻配備されています。最上型航空巡洋艦 最上改。ええと..Lvは22です。」
日向「うん、練度はうちの中では高いほうだ。彼女を編成に入れよう。2隻は空母が入るとして、あとの2隻は..」
霧島「火力。ですわね…」
日向「火力、装甲、耐久、そして索敵を高い水準で保持し、かつ、それに対して資材消費のバランスが良い型の艦船といえば…」

だれもが、答えの出ない問題に考え込んでいた。

時間だけが経過する。
だれも口を開かなくなった。

提督は首をひねりながら、霧島はタブレットを見ながら唸っていた。
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ここで、始めに口を開いたのは、またも日向だった。

日向「航空戦艦!
霧島・提督「え?」

日向は、生き生きと説明を続ける。

日向「改以上の戦艦の中では、最も低い燃料と弾薬の消費量!加えて高い索敵。瑞雲も搭載できる。」
日向「そして、伊勢型は戦艦の中で最高の回避能力!」
霧島「(…何か、入っちゃったみたいですわね。)」

霧島が提督に耳うちをするが、自分の世界に入ってしまった日向は止まらない。

日向「まさかの航空戦艦の時代か!」
日向「そうか…やはりこれからは航空火力艦の時代だな…。最上の奴も出てくることだし。」
日向「では提督、ポートワイン沖の作戦には、伊勢型航空戦艦 伊勢改, 日向改が出る。伊勢には伝えておく。本艦は出撃準備があるゆえ。これにて失礼する。」

目を輝かせながら提督に敬礼の後、執務室を出る日向。

提督「あ、あれー?何か日向やる気まんまんで出てっちゃったけど。。。」
霧島「た、確かに日向さんの分析は間違っていませんわ。金剛型よりも火力は劣るものの、消費資材量は少ないですし。でも..」
霧島「なんか、腑に落ちませんわ。」
提督「(…初めから狙ってきたな日向。)」
霧島「とりあえず、もう一杯。」
提督「え、まだ飲むんすか?」

ポートワイン沖の軍議だからといって、ワインを飲みながらするんじゃなかった…
助けて日向。

強襲!その2 へ続く →

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